施工方法についてご紹介

施 工Construction

施工手順

斜面整理工

施工範囲内にある、削孔に支障となる落石の恐れのある転石、倒木、立木等を予め撤去し、場外に搬出する。また、大きな不陸はあらかじめ整形しておく。またロープ敷設時や足場の設置に障害となる灌木等は伐採しても再萌芽が期待できることから、地際で伐採できるものとする。湧水が確認される場合には、暗渠パイプ等により場外へ適切に排水する。

斜面整理工

位置決め工

標準配置

ロックボルトの配置は、下図に示すabcのそれぞれの距離が2mの千鳥格子配置を標準とする。

標準配置の変更について

立木等障害物により、反力プレート(受圧板)の設置が困難と想定される場合に於いては、ロックボルト(補強材)の打設位置を標準間隔よりも1mを超えない範囲で移動する。

標準配置の変更による補強材の増し打ち

前記の場合に於いて、2箇所以上でロックボルト(補強材)の打設位置を変更する場合、下図で示したabcの長さの合計が標準値に比較して1mを超えないものとする。abcの長さの合計が標準値:6mより1m以上を超える場合はロックボルト(補強材)を追加(増し打ち)して対応するものとする。

位置決め工

足場工

削孔用単管足場について

  • ❶単管足場の構造は、現場条件、削孔機械の種類等を考慮して決定します。
  • ❷作業床の広さは、作業性を考慮して最低でも幅2m×延長2m=4㎡以上の構造のものとします。
  • ❸転落防止のため両サイド及び谷側には必ず手摺を2段に設けるものとします。

削孔用単管足場(例)

削孔用単管足場 例1
削孔用単管足場 例2

削孔工

削孔機械の選定

削孔機械は、ロープ足場によるDGクライミングドリル(ガイドセル付削岩機)を標準とするが、地形、地質、植生、削孔長等を考慮して、適切な能力の削孔機械を選定して施工するものとします。
選定基準等の詳細については資料をご請求して参照して下さい。

削孔機種(例)

削岩機

削岩機

DGクライミングドリル

DGクライミングドリル

軽量ボーリングマシーン

軽量ボーリングマシーン

ロータリーパーカッションドリル

ロータリーパーカッションドリル

スプリングドリル

スプリングドリル

バックホウ式ドリル

バックホウ式ドリル

クレーン式ドリル

クレーン式ドリル

注入工

注入は、削孔完了後速やかに孔底から行うものとします。ただし、地山の湧水や亀裂の状況により注入材の充填が困難な場合には止水剤の使用、パッカーの装着などの適切な処置を施し、確実な注入材の充填に努めなければなりません。下記に DGロックボルト工法に使用する標準的な注入材の配合を示します。

注入材

注入工

注入材の標準配合表(σ28=24N/㎟)

注入工

鋼材挿入工

補強材の挿入は、補強材に泥や錆、油分などの付着が無いこと確認した後、注入材充填後速やかに行う。その際、削孔した孔の中央に来るように配置し、注入材が硬化するまで動かないように静置することが重要です。

鋼材の余長(残尺)

鋼材(ロックボルト)の余長は、地山もしくは構造物から80mm~100mm 程度とします。また地山に不陸のある場合には、凸部の頂点からとする。

鋼材挿入工

確認試験

目的及び時期

確認試験は当該斜面に設置したロックボルトが計画された引き抜き耐力を有しているかどうかを確認するために行います。
試験を行う時期は、注入材の強度が十分に発現したことを確認したのち反力プレートを設置する前に行います。

試験本数及び試験方法

確認試験は以下の要領で行うものとします。

  • ❶試験本数: 全本数の3%以上(最低3 本)を標準とする。
  • ❷最大試験荷重: 設計荷重とする。
  • ❸載荷サイクル: 1 サイクル試験とする。
  • ❹その他 ネクスコ編「切土補強土工法設計・施工要領」に従い試験を行うものとします。
確認試験装置(例)

反力プレート
設置工

不陸調整

DG反力プレートを設置する際に、表層部の腐葉土など軟弱な層がある場合には、プレートの沈下を防止するため予め取り除き、プレートが地山と密着して馴染むように平滑に仕上ます。
設置範囲に不陸がある場合には事前に整形や貧配合ソイルセメント、モルタル等で間詰を行うなどし、平滑に仕上ます。

設置手順

設置手順

ロープ張工

ロープ端末処理方法

ロープの端末は、ロープ固定ボルトから20cm程度の余長を取り、反力プレートの2枚の補強リブにロープ固定ボルトで固定します。

ロープ端末処理方法

ロープ中間固定方法

ロープの中間部もロープ固定ボルトで左図の様に反力プレートの2枚の補強リブに固定します。

ロープ中間固定方法
ロープ中間固定方法

ロープ中間固定状況

ロープの中間固定状況

ロープの中間固定状況

頭部処理工

処理1

❶発泡ウレタンをソケットワッシャー内に充填します。

処理2

❷充填量の目安はソケットの上縁から2cm位盛り上がる程度の量とします。

処理3

❸キャップベースを設置します。

処理4

❹キャップベースを設置する前にソケットワッシャーの縁より外にはみ出た発泡ウレタンはヘラ等を使い除去しておきます。

処理5
処理6

❺ドームキャップ(雌ネジ付)をソケットワッシャー(雄ネジ付)に螺着し、専用工具で締め付けて固定します。

処理7

❻ドームキャップをネジ回しする過程で上図のようにボルト孔から発泡ウレタンがオーバーフローすることを確認します。

処理8

❼オーバーフローした発泡ウレタンをウエス等でふき取りキャップボルトを取り付けます。

処理9

❽キャップボルト取付状況

処理10

❾施工完了

施工完了

施工管理・安全計画

施工管理

施工管理は、計画された品質の工事を安全かつ工期内に終了させるために実施するもので、施工条件や施工規模を考慮し、設計図書及び仕様書に基づき発注者側との協議により、管理項目・頻度等を決定するものとします。

安全計画

●転落防止対策

必要に応じて安全ネット等の転落防止柵を設置して対応するものとします。

●浮石・転石対策

  • 1. 小規模で人力移動が可能な場合又は、岩除去工等が可能な場合は場外へ撤去・搬出すものとします。
  • 2. 撤去が不可能な場合は、ロープ掛工・根固め工・接着工等で斜面又は安定基盤に固定するものとします。
  • 3. その他、必要に応じて落石防護柵等を設置して対 応するものとします。

施工計画

DGロックボルト工法の計画に際しては、事前に下記に示す事項について調査検討し、安全で、合理的且つ周辺環境に十分な配慮して計画するものとします。
また、工事の目的、施工箇所及び作業条件によっては調査項目を追加して適正に計画するものとします。

  • 1. 設計図書、当該地区の施工事例
  • 2. 地盤条件、地表面の状況
  • 3. 隣接構造物、埋設構造物の状況
  • 4. 作業制限、環境保全規則、工事関連法規
  • 5. 電力、用水、廃棄物処理

施工計画書記載内容(例)

  • 1. 工事目的
  • 2. 工事概要(名称、場所、工期、発注者、受注者、数量等)
  • 3. 計画、設計条件
  • 4. 施工計画(工程、組織編成、使用機械、使用材料、仮設備、作業手順)
  • 5. 施工管理計画
  • 6. 品質管理計画
  • 7. 安全管理計画
  • 8. 技術資料、カタログ

維持管理

DGロックボルト工法は低床で構造物自体の高さが低いことから、施工後の周辺環境の経年変化(植生の回復、落枝落葉等による腐食層の形成)により次第に遠方からの目視はできなくなります。
さらに、製品自体も防錆処理を施していることから高耐久であり、通常の維持管理は不要です。
また、異常時(震度5 以上の地震、台風及び、豪雨など)が発生した後の施工地の異常の点検を行います。

異常時の点検項目

  • 1. 施工範囲内、周囲の孕み出し、クラック発生の有無等
  • 2. 倒木、落石発生の有無
  • 3. 多量の湧水の発生、または湧水の枯渇
  • 4. 既設構造物(擁壁、排水路等)の変形、破損
  • 5. ワイヤーロープの破断、緩み、異常緊張
  • 6. 反力板の異常沈下、浮き
  • 7. 補強材の飛び出し、破断
  • 8. ラス金網の破損、孕み出し

※点検の結果、異状が確認された場合には点検日時、異常個所、状態等を報告書にまとめ、発注者に報告を行い、その後の対応を協議することとします。